「共感力」と「物語の主人公」論:求職活動で本当に大切にしたいことを見つけるまで
迷いが晴れた:SSTで出会った私の「無意識の価値観」

求職活動、転職活動で「本当に自分に合う仕事はなんだろう?」「企業選びの軸が定まらない」と悩んでいませんか?求人票の条件や給与だけでなく、心の底から満たされる「軸」を見つけるのは難しいものです。
私もまさにそうでした。求職活動を行うにあたって何を重視すべきかわからず、自己分析本を読んでも抽象的な言葉しか出てこず、立ち止まっていました。そこで受けたのが、自分の「強み」と「価値観」を無意識の領域から掘り起こすSST(ソーシャルスキルトレーニング)でした。
本記事では、このSSTで言語化された私の強みである「共感力」と、ユニークな価値観「物語の主人公を動かしたい」が、どのように私の仕事選びの基準となり、迷いを晴らしたのかをお話しします。
「無意識」に潜む本当の価値観を掘り起こす

自己分析に限界を感じていた私にとって、このSSTは衝撃的でした。それは単なる質問への回答ではなく、「回答者が意識して答えた回答ではなく、その回答に潜んでる無意識の価値観を見つけ出すもの」だったからです。
「あなたの強みは何ですか?」といった表層的な質問ではなく、対話は深く、本能的な部分へ掘り下げていきました。
「今までで一番没頭できた業種は?」「没頭できた作業中にどういうことを考えていたのか?」「なぜそう考えていたのだろうか?」
こうした質問を通して、その時々の無意識をみつめるSSTは、表層的な「なりたい自分」ではなく、本能的な「大切にしたいこと」、つまり私のコアとなる価値観を明確にしてくれました。
言語化された強みと「物語の主人公」という価値観

この深い対話の結果、私の核となる要素が明確に言語化されました。
- 💪 強み: 共感力
- ✨ 価値観: 「物語の主人公を動かしたい」、「なりたい自分になる」、そして「なりたい自分になってほしい」
私の共感力は、相手の感情を深く理解し、その人の視点に立つ力であると再定義されました。そして、仕事選びの軸となる「物語の主人公を動かす」という価値観は、目の前の相手を、その人自身の人生の物語の「主人公」と捉えていることから来ています。
私の役割は、主人公が「なりたい自分になる」というゴールへ向かうために、背中を押したり、道を照らしたりする「脇役」であるということ。この「なりたい自分になってほしい」という願望こそが、私の行動原理でした。企業の提供するサービスや商品が、誰かの人生の「物語」を前進させるか?という視点が、私の判断基準として確立したのです。
強み・価値観のルーツ:発達検査とアクションゲーム

私の強みと価値観がどのように形成されたのかを、二つの具体的なエピソードを通じて掘り下げます。
🔍 共感力のルーツ:発達検査の現場で
私の強みである「共感力」は、以前の職場で児童の発達検査を行っていたときに強く意識されました。検査に来る子どもたちは、緊張や不安、あるいは親からの期待といった複雑な感情を抱えています。
検査結果を出すことが目的ですが、それ以上に大切だったのは、子どもたちが検査の時間を通じて「自己肯定感」を失わないことでした。私は、彼らが「できないこと」ではなく、「今、懸命に考えているプロセス」や「わずかにでもできたこと」に徹底的に焦点を当てました。検査中、彼らが感じている「難しい」「もう嫌だ」という感情を言葉にせずとも汲み取り、「そうだね、これはちょっと難しい問題だよね。でも、さっきの積み木は本当に上手だったよ」と、常に彼らの感情の隣に立つように努めました。
この深い共感が、子どもたちに安心感を与え、彼らが持つ本来の力を引き出すことに繋がりました。この経験から、「人は深く共感されることで、初めて一歩を踏み出す勇気を持てる」という確信を得ました。
🎮 主人公を動かす力:アクションゲームから
そして、「物語の主人公を動かしたい」という価値観は、私の趣味であるアクションゲームから強く想起されたものです。
私が最も没頭するのは、敵の攻撃をギリギリで避け、一瞬の隙をついて強力な一撃を叩き込むような、「高難易度で、即時の判断と精密な操作」が要求されるアクションゲームです。このゲームジャンルでの最高の瞬間は、何度も失敗して心が折れそうになりながらも、集中力を研ぎ澄まして強大なボスを倒し切った時の達成感です。
SSTでこの行動原理が言語化されたとき、私は確信しました。私は、「共感力」で相手の状況を深く理解した上で、その人が困難(ボス)に直面している時、迷わず即座に「行動」を促し、「なりたい自分」という目標を達成する喜び(=ボス討伐の達成感)を味わってほしいのだと。「主人公の行動を促し、達成感を共有する」ことが、私の最大の価値提供であると確信したのです。
迷いが消えた瞬間:大切にしたい「仕事の核」

SSTを経て、強みと価値観が言語化されたとき、私の求職活動の基準は劇的に変わり、迷いが一切なくなりました。
言語化される以前は、企業の「規模」や「待遇」といった表面的な条件に惑わされていましたが、今は違います。私は、その企業や仕事が、「目の前の主人公(顧客やユーザー)の困難な状況に深く共感し、その人が望む未来(なりたい自分)へ向かって、自ら一歩踏み出す行動を促す手助け」ができるかどうか、という基準でのみ判断できるようになりました。
アクションゲームで培った「困難を打破する達成感」を、仕事を通じて誰かに提供したい。発達検査の現場で得た「深く共感し、安心感を与える力」を活かしたい。この二つの思いが、私にとって最も大切にしたい、仕事選びの核となったのです。
もしあなたが今、私のように仕事選びや人生の選択に迷っているなら、ぜひ「あなたの無意識が熱狂する瞬間」に目を向けてみてください。
それは、熱中したゲームのジャンルかもしれませんし、誰かのささやかな成功を心から喜んだ瞬間かもしれません。
表面的な言葉ではなく、「没頭できた作業中にどういうことを考えていたのか?」という問いの先に、あなたの「物語の主人公」を動かすための強力な武器(強みと価値観)が必ず隠されています。
あなた自身の物語の主人公であるあなた自身が、その武器を知ることで、「なりたい自分になる」という最高のエンディングに向けて、迷いなく一歩を踏み出せるはずです。


