2025年4月7日、就労B型おひさんでは、支援の質の向上を目指し、月次勉強会が開催されました。今回のテーマは「障害者虐待、身体拘束、行動制限の防止を通じた支援の向上」。障害者虐待防止法の理解を深め、日々の支援における適切な対応と意識の向上を図ることを目的とした、大変重要な学びの場となりました。
障害者の尊厳を守るために
勉強会では、まず「そのとき、あなたはどうしますか~障害者虐待、身体拘束、行動制限の防止は支援の向上から~」という資料に基づき、障害者虐待防止法の基本が共有されました。
法の目的は、障害者の尊厳を守り、自立と社会参加を促進することにあります。虐待は、その尊厳を著しく害する行為であり、決して許されるものではありません。
具体的には、以下の5つの虐待類型が挙げられました。
- 身体的虐待: 暴力による外傷、不当な身体拘束など
- 性的虐待: 性的な行為の強要など
- 心理的虐待: 脅し、侮辱、無視などによる精神的苦痛
- 放棄・放置: 食事や排泄、入浴などの世話をしない、必要なサービスを受けさせないなど
- 経済的虐待: 本人の同意なしに財産や金銭を不当に利用・制限すること
これらの虐待は、日々の支援の中で無意識のうちに発生してしまう可能性もゼロではありません。だからこそ、私たち支援者一人ひとりが、虐待の定義を深く理解し、常に意識を高めていくことが求められます。
現状と課題、そして防止への取り組み
勉強会では、障害者虐待の発生状況に関するデータも共有され、その実態に改めて向き合いました。事業所従事者による虐待防止の重要性が改めて強調され、事業所内の虐待防止体制の整備が不可欠であることが確認されました。
就労B型おひさんでは、虐待防止責任者の配置や委員会の役割を明確にし、以下の3つの役割を果たすことで、虐待を未然に防ぐための体制を強化しています。
- 虐待防止のための体制づくり: マニュアルやチェックリストの整備
- 虐待防止のチェックとモニタリング: 各職員による定期的な点検、不適切な対応事例や苦情相談の報告、ストレスマネジメントの状況報告、リスクの検討と改善策の実施
- 虐待発生後の対応と総括: 早期対応と検証、総括の実施
また、虐待を発見した際の通報・届出義務と、その窓口についても再確認が行われました。通報は、利用者の被害を最小限に食い止めるだけでなく、職員や施設、法人全体の責任を最小限に抑えるためにも非常に重要です。
身体拘束・行動制限の原則禁止
特に強調されたのが、身体拘束・行動制限の原則禁止です。身体拘束は、障害者虐待防止法において身体的虐待に該当する行為とされています。
緊急やむを得ない場合にのみ、以下の3つの要件をすべて満たす場合に限り認められますが、その際も詳細な記録が義務付けられています。
- 切迫性: 利用者本人または他の利用者等の生命、身体、権利が危険にさらされる可能性が著しく高い
- 非代替性: 身体拘束以外の代替方法がない
- 一時性: 身体拘束が一時的である
利用者の行動を制限するのではなく、支援の質を高めるアプローチを常に模索することが、私たちの使命です。
活発な意見交換と今後の支援への活かし方
勉強会では、参加者間で活発な質疑応答と意見交換が行われました。
- 「これは虐待に当たるのか?」と判断に迷う日常の支援場面での具体的な事例について、活発な意見交換が行われました。
- 利用者の安全確保と自由の保障のバランスについて、各々の見解を共有しました。
- 行動制限につながりやすい場面での代替支援や、ポジティブな関わり方のアイデア出しも行われました。
- 職員間の連携強化が虐待防止にどう繋がるか、具体的な事例を交えて議論しました。
今回の勉強会で得られた知識と気づきを、今後の支援にどう活かしていくか、また継続的な課題も確認されました。
- 各職員が、担当する利用者さんの個別支援計画に今回の学びを反映させること。
- 身体拘束や行動制限に関する記録の徹底と、定期的な見直し。
- 疑問点や不安な点は、チーム内で積極的に共有し、解決を図ること。
- 定期的な勉強会の継続により、知識と意識のアップデートを図ること。
今回の勉強会で出た質問や意見は、今後のサービス向上に役立てていきます。次回の月次勉強会のテーマは、後日改めて共有される予定です。
就労B型おひさんでは、今後もこのような学びの機会を継続し、障害のある方々が安心して、その人らしく生活できる質の高い支援を提供できるよう、全職員で取り組んでまいります。